医療DXとは?
医療DXとは、医療現場における課題をデジタル技術の導入によって解決しようとする取り組みです。診療や事務など業務を効率化するだけでなく、医療サービスの質を高める目的もあります。
具体的には、院内データの活用やシステムの改善を進め、従来の紙ベースの業務や対面中心の業務を刷新します。医療DX推進の結果、医療現場で働く側はもちろん、サービスを受ける側にとっても便利な環境を整えることが可能です。

医療DXが必要と言われる理由
医療DXが必要と言われる主な理由は、以下の4つです。
- 人材不足
- デジタル化の遅れ
- 医療従事者の長時間労働
- 医療機関の経営悪化
ここでは、それぞれの理由についてくわしく解説します。
人材不足
近年、医療現場では深刻な人材不足が続いています。高齢化の進行により、治療や介護を必要とする患者が増加している一方で、医師・看護師・医療事務スタッフの確保が追いついていません。
とくに、2025年には戦後の出生ピーク世代が後期高齢者となり、医療ニーズが急増すると予測されています。この現象は「2025年問題」とも呼ばれており、医療サービスの提供体制に大きな影響を及ぼすと懸念されています。
こうした状況では、限られた人員でより多くの業務を効率的にこなす仕組みが求められます。医療DXの活用によって事務作業や情報共有の効率化を図れば、現場の負担を減らせるため、人材不足に対応することが可能となるでしょう。
デジタル化の遅れ
医療機関におけるデジタル化の遅れは、日々の業務に支障をきたしています。実際に今もなお、以下のような業務が紙を中心に行われている施設は少なくありません。
- 診療記録の作成
- 問診情報の管理
- 処方の手続き
- 物品の発注手続き
こうしたアナログな運用は、入力や確認に時間を要するほか、人的ミスのリスクを高めます。限られた診療時間内での手作業は、医師や看護師にとって負担となり、結果として患者対応の質にも影響を及ぼしかねません。
また、非効率な業務が多い労働環境は、スタッフの離職を招くリスクが高まります。現場の負担を軽減し、安全かつ迅速な医療サービスの提供を実現するためには、紙媒体に頼らないデジタルな運用体制に転換することが不可欠です。
医療従事者の長時間労働
医療現場では長時間労働が日常的になっており、スタッフの健康や医療サービスの質に悪影響を及ぼしています。人材不足やデジタル化の遅れといった複数の要因が、負担を増やし続けているのが現状です。
こうしたなか、2024年4月(一部特例)から施行された労働基準法の新たな労働時間の上限規制が、医療現場にとって重要な転機となりました。具体的には、医師の時間外労働を原則として月100時間未満、年間960時間以内に抑える規定が定められました。
※出典:厚生労働省 建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 (旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)
今回の上限規制によって、業務のあり方そのものの見直しがおこなわれ、業務の効率化や業務負担の分散が必要不可欠となっています。より限られた労働時間のなかで質の高い医療サービスを提供するには、医療DXによる抜本的な対策が必要です。
医療DXは、長時間労働といった構造的な問題を解決する手段として、今後さらに重要性が高まると考えられています。
医療機関の経営悪化
医療機関の経営状況は年々厳しさを増しており、安定した運営が難しくなっています。厚生労働省の調査によると、2022年度における黒字医療施設の割合は、すべての形態で前回調査よりも減少しました。
たとえば、2021年における医療法人立の一般病院の黒字割合は75.6%であったのに対し、2022年度は67.2%と8%近く低下しています。自治体立や社会保険関係団体立の一般病院でも同様に、収益が下落しました。
※出典:厚生労働省 医療施設経営安定化推進事業 令和4年度 病院経営管理指標
収益悪化の背景には、診療報酬の抑制や医療資材費の高騰といった構造的な課題があります。経営悪化を打開するためには、人件費を含むコスト削減が不可欠です。
その手段として注目されているのが「医療DX」です。医療DXの導入により、業務の自動化や省力化が進むことで人件費を削減でき、経営再建につながります。
政府が推進する「医療DX令和ビジョン2030」の概要
「医療DX令和ビジョン2030」は国が掲げる医療のデジタル化推進戦略です。政策の目的は、国民の健康予防の促進と質の高い医療提供を実現することです。目的を達成するために、全国規模での情報共有基盤の整備や電子カルテの標準化などを主な柱としています。
※出典:厚生労働省 「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム
ここからは「医療DX令和ビジョン2030」における以下3つの柱を解説します。
- 「全国医療情報プラットフォーム」の創設
- 問電子カルテ情報の標準化
- 「診療報酬改定DX」
「全国医療情報プラットフォーム」の創設
全国医療情報プラットフォームは、保健・医療・介護に関わる情報を一括して管理し、関係機関同士でスムーズな情報共有が可能な環境を整えるために創設されました。
従来、医療機関や自治体、介護事業者が個別に情報を管理していたため、組織間で情報連携が取れず、診療や介護が断続的になるといった課題がありました。
組織間の横断的な情報共有を達成するためには、クラウド技術を活用して情報をつなぎ、必要な情報を必要なときに参照できる仕組みが不可欠です。たとえば、患者に関する既往歴や服薬状況、検診結果などをプラットフォーム上で確認できると、誤投薬や重複検査の防止にもつながります。
また、要介護認定情報や多職種間の連携にも活用できるため、医療・福祉全体サービスの質向上にも役立ちます。
電子カルテ情報の標準化
電子カルテの規格を統一することは、医療機関同士での情報連携を進めるために欠かせない取り組みです。電子カルテは多くの医療施設で導入されていますが、各社のシステム仕様やデータの記録方式にばらつきがあり、情報の共有や移行が困難という課題があります。
このような課題を受け、政府は電子カルテの記録項目やデータ形式の標準化を推進しています。標準仕様に基づく運用が実現すれば、診療情報のやり取りがスムーズになり、紹介先の医療機関でも患者の情報を正確に把握できるようになるでしょう。
政府は2026年までに電子カルテの普及率を8割、2030年までにはすべての医療機関での導入を目指しています。とくに中小規模の診療所に対しては、低コストなクラウド型電子カルテの導入を支援する取り組みも図られています。
「診療報酬改定DX」
診療報酬改定DXとは、診療報酬制度の見直しにともなう業務負担を軽減して、現場の効率化を図るためのデジタル施策です。医療の診療報酬は2年ごとに改定されますが、そのたびに医療機関やシステムベンダーは膨大なプログラム修正や帳票様式の更新に追われます。
これらの作業を簡易化するために検討されているのが、全国共通の算定プログラムの導入や各種帳票フォーマットのアプリ化です。さらに、改定作業の集中を避けるため、施行時期の見直しや業務の平準化といった調整も進められています。
こうした仕組みが整えば、スタッフの事務負担が少なくなり、注力すべき業務により集中できるようになります。
医療DXの取り組み方
医療DXの具体的な取り組み方法は、以下のとおりです。
- カルテ・処方箋の電子化
- 予約や診療のオンライン化
- ビックデータの活用によるサービスの向上
- 人件費の削減
それぞれの方法について解説します。

カルテ・処方箋の電子化
診療記録や処方内容を電子化すると、医療機関における業務の効率化を図れます。紙に頼った運用では、保管スペースの確保や文書の取り扱いに手間がかかり、情報の検索や共有にも時間がかかりがちです。
一方、電子カルテや電子処方箋を導入すれば、記録をデジタルで蓄積・管理でき、必要な情報をすぐに呼び出せるようになります。クラウドを活用すれば、災害時やシステムトラブルの際にもバックアップ体制を整えられ、情報をより安全に保つことも可能です。
また、薬局やほかの医療機関との連携も速やかに行えるため、患者に対して無駄のない対応が実現するでしょう。記録の誤記や転記ミスの防止にもつながるため、医療の安全性を高めることにもつながります。
カルテや処方箋の電子化は、医療現場の負担を軽減しつつ、患者が医療サービスをより安心して受けられる体制を整える有効な手段といえます。
予約や診療のオンライン化
医療サービスの利便性と効率性を高める手段として、予約や診療のオンライン化が欠かせません。診察予約の受付や問診情報の入力をデジタル化すると、窓口での待ち時間を短縮できるだけでなく、医師やスタッフのスケジュール管理も円滑に進められます。
患者にとっては事前にスマートフォンやパソコンから必要な手続きを済ませられるため、来院当日の心理的・時間的負担が軽減されます。
また、診療そのものをオンラインで実施する遠隔診療の導入も効果的です。移動が困難な患者でも、自宅で医師の診断を気軽に受けられるようになります。
ビックデータの活用によるサービスの向上
院内で蓄積されるさまざまなデータを効果的に活用することは、医療サービスの質を引き上げるうえで欠かせません。医療DXの推進によって、医療機関や自治体などが個別に保有していた以下のようなデータを共通のプラットフォーム上で一元管理できる環境が整いつつあります。
- 診療履歴
- 服薬情報
- 健診結果
こうしたシステムが確立されれば、患者一人ひとりに対する最適な治療方針を立てやすくなるでしょう。また、集積されたデータは疾患の傾向を統計的に分析することで、予防対策の立案や早期診断技術の開発にも役立てられます。
さらに、症例ごとの経過データを蓄積することは、新薬の研究や新たな治療法の検証にもつながります。ビッグデータの活用は、患者がより的確な医療を受けられるだけでなく、医療レベルを引き上げるためにも効果的です。
人件費の削減
医療DXの推進は、人件費の削減にも役立ちます。たとえば、受付業務や会計処理、薬剤の搬送といった繰り返しの多い業務をロボットに任せることで、職員の作業負担を減らすことが可能です。
その結果、時間外労働の削減や業務の効率化が実現し、人手に頼らない運営体制を整えられるでしょう。業務の標準化が進めば、一人ひとりの業務効率が向上し、少人数でも安定した医療提供が可能になります。
こうした取り組みは、人材不足に悩む現場の負担軽減にもつながり、離職防止の観点からも有効です。
USEN-ALMEXは、日本初の次世代型多機能受付機「Sma-pa TERMINAL(スマパターミナル)」と、オンライン資格確認に対応した顔認証付きカードリーダー「マイナタッチ」の連携によるサービスを全国の病院に提供しています。
「Sma-pa TERMINAL」と「マイナタッチ」の連携により、受付と資格確認を1か所で完結でき、患者さまの利便性向上はもちろん、窓口スタッフの資格確認業務の負担軽減にも大きく貢献します。さらに、これまで診察券で行っていた受付も、マイナンバーカード1枚で受付から資格確認までスムーズに対応できるようになります。
日本初※再来受付機とオンライン資格確認対応顔認証付きカードリーダーが連携 国保旭中央病院にて運用 | 株式会社USEN-ALMEX
株式会社USEN-ALMEXは、次世代型多機能受付機「Sma-pa TERMINAL」と、オンライン資格確認対応の顔認証付きカードリーダー「マイナタッチ」の連携提供を2023年12月5日より本格開始。千葉県の国保旭中央病院にて先行導入を行い、患者様の利便性向上と医療機関の業務負担軽減に寄与。病院DXの推進を支援します。
www.usen-almex.jp
医療DXのメリット
医療DXの主なメリットは、以下の4つです。
- 業務の効率化になる
- コストの削減ができる
- 医療サービスの質が向上する
- データの喪失を防げる
それぞれのメリットについて解説します。
業務の効率化になる
医療DXの推進は、業務全体の効率向上に貢献します。たとえば、以下のような手作業ではどうしても時間や労力がかかりがちな業務も、デジタル化によって割いているリソースを削減できます。
- 医薬品や備品の在庫チェック
- 診療報酬の算出
- 経理処理
また、問診票の記入や受付など来院時の対応をオンライン化することで、対面でのやり取りを減らし、スタッフの負担を軽減できます。こうした取り組みにより、限られた人員でも医療サービスを効率的に提供でき、労働環境の改善が期待できます。
コストの削減ができる
医療DXは、経営面での支出を抑えることも可能です。たとえば、業務システムをクラウドで統一することで、保守やアップデートにかかるコストを削減できます。
さらに、紙ベースで実施していた書類作成の自動化を進めると、事務スタッフの業務負担が軽減され、人件費の削減にもつながります。こうした取り組みは、経済的に厳しい状況にある医療機関にとって、経営安定化を実現するための重要な施策です。
医療サービスの質が向上する
医療サービスの質を高めるうえでも、医療DXの導入が有効です。たとえば、診療情報や予約内容を電子化することで業務効率が上がり、医師や看護師が患者一人ひとりに向き合う時間を確保しやすくなります。
また、オンライン診療の導入により、移動が困難な方や遠隔地に住む患者でも自宅で適切な診療を受けられるようになります。
さらに、電子カルテや診断支援AIの活用によって、医師の判断がサポートされることで診断の正確性・迅速性が向上し、信頼性の高い医療の実現が可能です。
データの喪失を防げる
大切な医療情報をクラウド上で安全に管理できるようになる点も「医療DX」のメリットのひとつです。従来の紙媒体や院内サーバーだけに依存した保管方法では、火災や水害、地震といった自然災害によってデータが失われるリスクがあります。
一方、クラウドシステムでは複数拠点にデータのバックアップが保管されるため、自然災害の際でも復旧が可能です。
医療DXのデメリット
医療DXにはさまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットがあることも理解しておく必要があります。
- セキュリティ対策が必要になる
- ITに対する知識が求められる
- デジタルに疎い患者から不満が出る
各デメリットについて解説します。
セキュリティ対策が必要になる
システムの導入にあたっては、情報セキュリティの強化が必要不可欠です。患者の診療記録や健康状態といった機密性の高い情報がデジタル化され、インターネットを介して管理・共有されるようになります。
その結果、不正アクセスやウイルス感染などのリスクが高まることは避けられません。電子カルテが外部からの攻撃を受けた場合、情報漏えいや業務の停止といった深刻な被害が発生するおそれがあります。
こうしたリスクを未然に防ぐためには、多要素認証の導入やアクセス制限などが欠かせません。
ITに対する知識が求められる
新しいシステムを導入する際は、スタッフが一定のITスキルを身につけていることが前提です。新たに導入される電子カルテや予約管理システムなどは、操作に慣れるまでに時間がかかります。
とくに、アナログ業務に慣れた職員にとっては、人的ミスの原因となりかねません。操作ミスが生じれば、診療の遅れや事務作業の混乱を招くおそれもあります。そのため、システムの使い方に関する研修を導入の初期段階で丁寧に行い、全員が適切に扱えるようにしましょう。
また、法改正やシステムの更新にも対応できるよう、定期的に学習の機会を設けることも大切です。技術の定着には時間と労力がかかるため、教育体制についても前もって検討しておきましょう。
デジタルに疎い患者から不満が出る
デジタル機器に慣れていない患者にとっては、システムの操作が負担となり、不満や不信感につながる可能性があります。こうした患者への配慮が後回しになると、医療機関に対する印象を損ね、患者離れの要因にもなりかねません。
そのため、デジタルに不慣れな患者でもストレスなく医療サービスを受けられるよう、対面での受付窓口を残すことや案内スタッフの常時配置など、柔軟な対応も求められます。
医療DXを導入するための進め方
ここからは、導入するにあたって、具体的にどのような流れで進めるべきかを解説します。また、定期的に政府の動向や施策をチェックすることも欠かさずに行いましょう。
導入する際の流れ
導入の流れは、以下のとおりです。
- 課題を洗い出して解決の優先順位を決める
- スタッフへの説明・研修
- 導入した効果を測定する
それぞれの工程について解説します。
―1.課題を洗い出して解決の優先順位を決める
まずは、現場の実情を把握したうえで取り組むべき課題を整理し、優先順位を明確にすることから始めます。現場の課題を整理する際は、残業の多い部署や業務上のミスが頻発する領域、患者からの要望の内容を優先的に分析しましょう。
また、手作業で行っている業務を洗い出すことで、デジタル化の対象範囲を把握できます。分析した業務課題をもとに、経営層は収益性や効率性、スタッフは自身への負担、システム管理者はセキュリティや運用性から改善すべき点を見極めます。
ただし、優先順位の判断は主観に頼らず、実現可能性・緊急度・重要度など客観的な基準に基づいて行うことが重要です。
―2.課題解決に最適なシステムを選定する
課題解決に必要な機能を備えたシステムの導入は、医療DXの効果を引き出すうえで不可欠です。
たとえば、保険請求の業務負担が大きい場合は、入力の正確性と作業効率を高める管理ソフトが有効です。一方、来院時の混雑を緩和したい場合には、受付時間を調整できる予約システムの導入が候補となります。
また、遠隔での診療ニーズがある場合には、オンライン診療ツールの活用も検討するとよいでしょう。選定にあたっては、複数社の見積もりを比較し、導入後のサポート体制や費用対効果などを総合的に評価します。
―3.スタッフへの説明・研修
新しいシステムの導入後は、スタッフが不安なく扱えるようにシステムの操作説明や研修が欠かせません。新しいシステムに対して、多少の不安や抵抗を感じる方もいるため、まずは導入の背景や目的を丁寧に伝えることが重要です。
業務の負担軽減や作業の効率向上といった具体的なメリットも伝えることで、理解を得やすくなります。
また、教育体制を整える際は、視覚的に理解しやすいマニュアルや繰り返し学習できるオンライン教材の活用が効果的です。とくに不安が大きいスタッフには、操作習得に向けた個別指導を取り入れるのもひとつの方法です。
現場への混乱を最小限に抑える取り組みや体制を心がけましょう。
―4.導入した効果を測定する
導入による成果を把握するには、効果をきちんと評価する仕組みが必要です。改善状況を正確に確認するためには、業務時間の短縮や患者の待機時間の変化など、数値で表現できる指標の活用が適しています。
あわせて、数値に表れにくい現場の運用状況を把握することも重要です。現場スタッフや患者の声を収集し、導入前後でどのような変化があったのかに目を向ける姿勢が求められます。
評価の結果、課題や改善点が見つかった場合は、システムの使い方や業務フローの見直しを検討しましょう。効果測定と改善を繰り返すことで、DXは現場に定着し、持続的な成果につながります。
政府の動向や施策のチェック
国の政策や制度改正の動向を常に把握しておくことも大切です。医療分野のデジタル化は国を挙げた取り組みであり、補助金の創設や診療報酬の改定など、医療機関向けの施策が提供されています。
とくにマイナンバーカードの保険証利用や電子カルテの標準化といった施策が遅れると、診療体制に支障をきたすおそれがあります。最新の法制度や行政指針を見落とさず、自院に必要な対応や体制整備をあらかじめ整理しておくことが重要です。
また、将来的な制度変更にも柔軟に対応できるよう、業務体制の見直しにも取り組むことが求められます。
補助金制度を活用する
医療DXの推進では、システムの導入に対してまとまった初期投資や運用資金が必要です。国や自治体は、電子カルテの導入やオンライン診療環境の整備などを支援するために、複数の補助金制度を設けています。
こうした制度を活用すれば、導入費用や運用にかかるコストを一部補填でき、限られた予算でも施策を進められるでしょう。ただし、各制度には申請条件や対象経費、報告義務など細かい要件が定められているため、募集要項を読み込み、書類を準備する必要があります。
また、申請受付期間が短い場合もあるため、情報収集と準備を早めに進めましょう。
医療DXの成功事例
医療DXを取り入れることで、診療の質向上や業務効率化に成功している医療機関が増えています。具体的な取り組み例を知ることで、導入イメージをつかみやすくなるでしょう。ここでは、医療DXの成功事例を紹介します。

カルテなどのペーパーレス化
「医療法人社団創福会 ふくろうクリニック等々力」では、旧システムの電子カルテがサポート終了間近であったことから、クラウド型への移行を決断しました。しかし、約80,000件もの診療記録を短期間かつ正確に移す必要がありました。
人手による作業では業務に支障が出るおそれがあったため、導入されたのが定型業務の自動化ツールであるRPAの「RoboTANGO」です。導入の結果、1日あたり約200件のデータを正確に転記し、人的ミスを防ぎながら安定した作業を実現しています。
オンライン診療による受診のしやすさ
「国家公務員共済組合連合会 虎の門病院」では、睡眠時無呼吸症候群の早期診断と治療を促進するために、オンライン相談サービス「YaDoc」を導入しました。従来は入院検査が必要だったため、受診のハードルが高く、患者が治療をためらう要因になっていました。
そこで、取り入れたのが初診をオンラインで実施する体制です。診察への心理的な負担を軽減し、通院のきっかけをつくる工夫がなされました。
加えて、地域のかかりつけ医との連携も可能になり、患者にとっては継続的な見守りの安心感が得られる仕組みとなっています。オンラインと対面を組み合わせた診療体制によって、診療の質を高めつつ、より便利に受診できるようになりました。
患者データの一元化
「東京医科大学病院」では、スマートフォンによる医療費後払いシステム「Sma-pa CHECKOUT」を導入することで、患者情報の一元管理を推進しました。とくに注目されたのは、支払いから領収書発行までがスマートフォン上で完結する機能です。
加えて、診察後の会計待ちを不要とする仕組みによって患者の利便性も向上し、混雑の緩和にもつながっています。外来患者が多い同医療施設では、従来のように窓口で発行を待つ必要がなくなり、再来院の手間を省くことにも成功しました。
患者に優しい医療施設づくりという理念のもと、デジタル技術の活用による情報連携と業務効率化を同時に実現しています。
自動精算機「Sma-pa CHECKOUT」の導入事例はこちらからご覧ください。
Sma-pa CHECKOUTによる医療費の後払いで患者さまの負担軽減と職員の適正配置を実現 | 株式会社USEN-ALMEX
東京医科大学病院様は、100周年を機に新病棟を開設。“患者とともに歩む医療人を育てる”という理念のもと、スマホ決済アプリ「Sma-pa CHECKOUT」の導入背景や効果についてご担当者に伺いました。
www.usen-almex.jp
まとめ
医療DXは医療現場の課題をデジタル技術で解決し、働く側・利用する側の双方にとってメリットをもたらす取り組みです。業務効率化やコスト削減、医療サービスの質向上を実現する取り組みであり、今後さらに導入が進んでいくでしょう。
併せて、カルテのペーパーレス化やオンライン診療、患者データの一元管理といったさらなるデジタルサービスも順次展開していくと思われます。
USEN-ALMEXでは、医療機関向けに自動精算機や受付精算機「Sma-pa TERMINAL」、スマートフォン後払いシステム「Sma-pa CHECKOUT」をはじめ、非対面・省人化を実現する業務効率化ソリューションを提供しています。
院内でのスムーズな受付やキャッシュレス決済、院外でのスマートフォンによる後払いといった利便性をお客さまに実感いただけます。また、医療施設側にとっても受付業務の負担軽減や会計時の混雑解消など、さまざまなメリットが得られます。
業界の変化やニーズをいち早く捉え、常に革新的な製品・サービスを提供しています。導入をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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