ミッションは新規事業創出。特命プロジェクトを担う精鋭部隊
まずは、経営戦略本部のミッションと業務内容について教えてください。
経営戦略本部のミッションは、USEN-ALMEXの未来を創る新規事業の創出です。私は2023年に本部長に就任後、すぐに本部内に「特命プロジェクト室」を創設し、単に戦略を練るだけでなく自ら新事業をつくり出すために動く実働部隊を立ち上げました。
新規事業はとにかくスピード感が命です。不確定要素が多くリスクも大きいため、既存の事業よりもショートサイクルでPDCAを回していく必要があります。そこで、特命プロジェクト室ではあえてメンバーの役割を固定せず、臨機応変にメンバーがさまざまな役割を担当することで、より早く効率よく事業化を実現できるよう走り続けています。例えば、私の肩書は本部長ですが、特命プロジェクト室では1プレイヤーとして営業的な役割を果たす時もあります。大変ではありますが、自ら描いた青写真がビジネスになっていく面白さを日々実感しながら働けるので、やりがいはすごく大きいですね。
具体的に、どのような新規事業を手掛けていますか?
主に中小規模の医療機関(クリニック)を対象とした医療事務のDX事業です。近年、クリニック業務に関してはシステムを導入して自動化しているケースが増えていますが、システムの種類が多く、かつシステムとシステムがつながっておらず、業務ごとに異なるベンダー選定をしないといけないし、各業務にどのようなシステムが適しているのか、導入に困っている医師がほとんどです。
そこで、USEN-ALMEXでは入り口から出口まで一気通貫してクリニックのDXを実現するソリューションを提供し、人材不足にも対応できる、より効率的なクリニック経営をサポートしたいと考えています。このほか、薬局を対象としたDX支援やコンサルティング、クリニックモール(複数のクリニックがテナントとして入居する施設)内のDX運営など、複数の新規事業にも同時並行で取り組んでおり、それぞれ確かな手応えを感じているところです。
既存事業の強みを生かして、新領域のリーディングカンパニーを目指す
新規事業を展開する上で、USEN-ALMEXにはどのような強みがありますか?
やはり創業以来約60年間にわたる事業実績があること、そして高い技術力を有することですね。例えば一般的に医療業界は参入障壁が高いとされていますが、当社の場合はすでに既存事業で医療業界での実績があり、それがクリニックや薬局を対象とした新規事業を展開する上で、大きなアドバンテージとなっています。日本では近い将来、医療DXの加速を背景に医療機関の小規模化が進むと予想されており、医療市場の主役がこれまでの大病院から中小規模の医療機関にシフトしていくと見られています。USEN-ALMEXは業界の競合に先んじて市場でのシェアを拡大し、この分野のリーディングカンパニーとして日本の医療を支えていきたいと考えています。
また、USEN-ALMEXがいい意味で発展途上の企業である点も、新規事業を展開する上での強みの一つです。私はUSEN-ALMEXに入社する前は従業員が数万人規模のグローバル企業に在籍していたのですが、組織が大きい分、意思決定に時間がかかってしまう傾向がありました。今は組織がコンパクトでシンプルな分、意思決定が早くて事業展開が非常にスピーディー。しかも、社員同士の団結力が強くて、各部署の取り組みを会社全体がサポートしてくれる体制が整っています。私も新規事業を進めるにあたって、よく他部署に質問や相談に行くのですが、皆さんが快くサポートしてくれるので、毎回すごく助けられています。
USEN-ALMEXが「こうあるべき姿」をまとめた「ALMEX WAY」の中で、Valueとして掲げている仕事や同僚に対する「Integrity」(誠実さ)が、社員の中に深く根づいていることを実感しますね。
今後、程さん自身はUSEN-ALMEXでどんなことに取り組んでいきますか?
引き続きリーダーとして新規事業創出に取り組みつつ、CSO(Chief Strategy Officer)としては組織のテコ入れにも本格的に取り組んでいきたいですね。というのも、企業のライフサイクルでいうとUSEN-ALMEXは今、100から1000を生み出すステージへの過渡期に差し掛かっているからです。先ほどお話したUSEN-ALMEXのよさは残しつつ、今後はスケールメリットを生かしたより大きな事業を手掛ける企業へと進化していく必要があります。そのためには、もちろん競争力のある商品やサービスの開発も必要ですが、業務の効率化と人材の育成が絶対に必要不可欠です。一人ひとりの社員が持てる能力を存分に発揮できる組織、優れた人材から入社して一緒に働きたいと思われる魅力的な組織・強い組織を目指して、業務と組織を抜本的に見直していきたいと考えています。
自分を一番大切に。「多様な人材が自分らしく働ける企業」であることがUSEN-ALMEXの社会貢献
USEN-ALMEX初の女性役員として、組織のダイバーシティ推進にも取り組まれています。どのような手応えを感じていますか?
2023年に入社してすぐに、女性社員と若手社員を中心に約200人とOne on Oneで面談し、さまざまな話をしました。その結果、確信したのは私が取組むべき真の課題は「女性社員・管理職を増やす」とか「キャリアアップをサポートする」ことではないということ。当たり前のことですが、同じ会社で働いていても一人ひとり、仕事に対するスタンスも違えばライフステージも違います。バリバリ働いてキャリアアップしたい人もいれば、子育て中で仕事はできる限りセーブしたいという人もいるでしょう。なのに、会社側が画一的なキャリアを求めるのは、非常にナンセンスな話です。つまり組織改革の指揮をとる私に求められているのは、全員にキャリアアップを促すことではなく、一人ひとりが自分のライフステージやキャリアプランに合わせて無理なく働ける環境を整え、一人ひとりにしっかり寄り添って必要なサポートを届けること。そして、すべての社員が自分にとってベストなワークライフバランスを取りながら働ける環境が実現できた時、USEN-ALMEXは本当の意味でダイバーシティに富んだ企業に成長できるはずです。
その上で私が社員の皆さんに提唱しているのは、「自分を一番大切にしよう」ということ。もちろん仕事はとても大切で私たちの人生に必要な要素の一つではありますが、そのために自分を犠牲にする必要はありません。しんどいなと感じたら休んでいいし、誰かを頼ってもいいんです。それよりも、自分が笑顔で楽しく働けるにはどうすればいいのかを考えてもらいたい。自分が顧客の立場に立ってみるとよくわかりますが、同じものを買うなら、より楽しそうに働いている人、笑顔の人から買いたいですよね。それと同じで、自分を大切にして笑顔で働く人が増えることが、結局はUSEN-ALMEXの成長に繋がります。より多様な人材を採用して、より多様な生き方を応援しつつ、社会に必要な商品やサービスを提供していく。これこそがUSEN-ALMEXが目指すべき姿であり、企業として社会に提供できる最大の貢献だと考えています。