医療機関におけるサービスロボットとは?種類と導入メリット・課題について解説

医療機関におけるサービスロボットとは?種類と導入メリット・課題について解説

貴院では、日々の業務における人手不足やスタッフの業務負担に、頭を悩ませていらっしゃいませんか? 多忙を極める医療現場において、限られたリソースで質の高い医療を提供し続けることは、皆様にとって喫緊の課題ではないでしょうか。
近年、少子高齢化による人手不足の深刻化や業務効率化のニーズが高まる中、様々な現場で「サービスロボット」の導入が急速に進んでいます。医療機関やホテル・宿泊施設、飲食店など、多岐にわたる分野で、清掃や受付、運搬といった業務をロボットが担う事例が増え、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の重要な要素となっています。

本記事では、サービスロボットの定義や産業用ロボットとの違いから、最新の市場規模、そして具体的な種類と導入メリット・留意点まで、貴院での導入検討に必要な情報を網羅的に解説します。この記事を通じて、貴院におけるサービスロボット活用の可能性を見つけていただければ幸いです。

サービスロボットとは?

人手不足の解消や業務効率化の推進役として、様々な現場で導入が進む「サービスロボット」。私たちの生活やビジネスの多様な場面で活躍の場を広げていますが、具体的に「サービスロボットとは」 何を指すのでしょうか?

ここでは、サービスロボットの明確な定義から、混同されやすい産業用ロボットとの違い、さらには拡大する市場規模について解説します。

サービスロボットの定義

サービスロボットとは、清掃や運搬、介護、受付など、主に人間が行う作業をサポートするロボットを指します。一般家庭はもちろん、貴院のような病院やクリニック、宿泊施設、オフィス、飲食店など、人間と同じ環境で「協働」することを前提としている点が最大の特徴です。貴院のスタッフと協働しながら、多様な業務をサポートすることが可能です。

ISO 8373(ロボットの用語と定義を定めた国際規格)では、「人または設備にとって有益な作業を実行するロボット。産業自動化の用途に用いるものを除く。」と定義されています。

お掃除ロボットのiRobot社の「Roomba(ルンバ)」などが身近なサービスロボットの代表例です。このほかにも、飲食店で活躍する配膳ロボットや、病院内で荷物を運ぶ搬送ロボットなどもサービスロボットに含まれます。

これらのロボットには、周囲の状況をセンサーで認識し、人や物にぶつからずに稼働する能力や、危険が及ばないように適切に動作する高度な安全性が求められることがあります。

サービスロボットと産業用ロボットの違い

サービスロボットと産業用ロボットは、その役割と活用環境に明確な違いがあります。

サービスロボットは、運搬・清掃・受付・介護など、人と同じ環境で作業を支援するロボットを指します。
一方、産業用ロボットは主に工場で用いられ、組み立て・加工・溶接などの定型作業や反復作業の自動化を目的とします。

区分の基準は「産業自動化に用いるかどうか」です。
生産ライン等の産業自動化に用いられるものは産業用ロボットに該当し、それ以外でも、人や設備にとって有益な作業を実行する用途(産業自動化を除く)で用いられるものがサービスロボットに該当します。

サービスロボットの市場規模は?

サービスロボットの市場は、現在、目覚ましい拡大傾向にあります。総務省が発表した「令和6年版情報通信白書」によると、その市場規模は2028年には551.8億ドル(約8兆2,770億円)に達する見通しです。

こうした背景には、国内に留まらず世界的な需要の広がりがあり、サービスロボットがもたらす利便性の向上とともに、さらなる市場拡大への期待が高まっています。これは、貴院のような医療機関においても、サービスロボットがもはや特別な存在ではなく、当たり前の選択肢となりうる可能性があることを示していると言えるでしょう。

サービスロボットの種類

サービスロボットは、その多様な機能と用途から、私たちの日常生活やビジネスの様々なシーンで活躍しています。ここでは、主な用途別に分類したサービスロボットの種類と、それぞれの利用場所を一覧でご紹介します。

ロボットの種類 主な利用場所
配膳ロボット 医療施設、介護施設、ホテルのレストラン、ゴルフ場のレストラン
搬送(配送・運搬)ロボット 倉庫、工場、オフィス、医療施設、ホテル、ショッピングモール
受付・案内ロボット 商業施設、オフィスビル、医療施設、空港、ホテル、美術館
警備ロボット オフィスビル、商業施設、工場、駐車場、学校、公共施設
清掃ロボット オフィスビル、商業施設、空港、駅、ホテル、医療施設、家庭
介護・福祉ロボット 介護施設、医療施設、高齢者住宅
教育・接遇支援ロボット 学校、保育園、学習塾、図書設、介護施設、ホテル、商業施設館、医療施設

ご覧いただいたように、サービスロボットは多岐にわたる分野で導入が進んでいます。ここからは、それぞれのロボットが具体的にどのような役割を果たし、どのような場面で活躍しているのかを詳しく見ていきましょう。

配膳ロボット

配膳ロボットは、調理場から患者さまのもとへ料理や飲み物を運ぶだけではなく、食事後の食器を回収する下膳用途でも利用されるロボットです。事前に設定されたルートを自律走行し、AIやセンサーによって人や障害物を検知しながら、安全かつスムーズな配膳を実現します。

操作はタッチパネル式で直感的に行えるため、導入障壁が低い点も特徴です。飲食業界の人手不足解消に貢献し、従業員は配膳・片付け業務の負担が軽減されることで、お客さまのサービス向上に注力できるようになります。導入事例が急速に増加している注目のロボットです。

また、USEN-ALMEXが取り扱う配膳ロボット『Servi Plus』は、安定した走行性能と高い安全性を備えており、最大40kgの大容量を一度に運ぶことができます。狭い通路での走行や傾斜のある環境にも対応できるなど、現場の状況に柔軟にフィットする点が特長です。

医療施設や介護施設での食事提供支援でも導入されており、患者さまの配膳・下膳業務をロボットが担うことで、看護師や介護スタッフは患者さまとのコミュニケーションや専門的なケアに、より多くの時間を割けるようになります。


業務用配膳ロボットの導入メリットやデメリット、選び方について、関連ブログ記事でもご紹介しています。
導入の参考に、ぜひあわせてご覧ください。

搬送(配送・運搬)ロボット

搬送ロボットは、人の代わりに医療物資や備品などの業務物資を目的地まで自動で運ぶロボットです。
一般的に「配送ロボット」と呼ばれるものには、屋外で宅配や物流を行うタイプと、院内・施設内で物品を搬送する屋内タイプの2種類があります。

ここで紹介するのは、後者の屋内搬送ロボットです。
カメラやレーザー光で人や障害物を検知し、最適なルートで薬剤・検体・リネン類、医療器具、備品などを運びます。
広い院内や複数階の施設でも、エレベーターや自動ドアと連携し、効率的に移動します。

24時間稼働が可能なため、夜間や休日も業務を止めずに継続でき、看護師や薬剤師の移動負担を大幅に軽減します。
貴院のようにスタッフの業務負担が大きい現場では、医療ケアに集中できる環境づくりに大きく貢献します。

受付・案内ロボット

受付・案内ロボットは、来訪者の受付や案内、誘導を自動で行うロボットです。人間が話す言葉を認識し、質問に応じた情報提供が可能です。多言語対応により、外国人へのスムーズな応対も実現します。

音声だけでなく、搭載されたディスプレイに地図や動画を表示することで、視覚的にも分かりやすい案内を提供できます。

USEN-ALMEXでは、クリニック向け案内ロボット『ATOI』のようなソリューションも提供しており、『ATOI』は患者さまの受付対応や院内の案内を自動で行うことで、受付スタッフの業務負担を軽減し、より質の高い患者対応を可能にします。特に多忙な時間帯や、外国語対応が必要な場面で大きな力を発揮いたします。

警備ロボット

警備ロボットは、高解像度カメラ、音響センサー、AI解析機能を活用し、施設内の巡回や監視を行うロボットです。夜間の巡回警備、不審者対策、広大な敷地や駐車場などの監視に役立ちます。

配膳ロボットと同様、自律走行で事前に設定されたルートを巡回し、異常を検知した際には自動で通報したり、ロボットに搭載されたスピーカーから不審者へ遠隔で警告を発したりすることも可能です。警備員の人手不足を補い、スタッフや患者様の安全・安心を確保するとともに、警備コストの最適化にも貢献いたします。

清掃ロボット

清掃ロボットは、院内の床や壁の清掃を自律的に行うロボットです。清掃しながら最適なルートを作成し、障害物を回避して隅々まで効率的に清掃します。バッテリー残量が少なくなると自動で充電スポットに戻り、充電完了後に清掃を再開する機能も備わっています。

リモートでの状況確認や、作業レポート機能を持つ機種もあります。人のいない夜間や早朝に自動で作業を開始できるため、清掃時間の短縮や従業員の負担軽減に大きく貢献します。

清潔さが特に求められる医療現場において、USEN-ALMEXが取り扱う汎用清掃ロボット『C30』は、床面の清掃業務を自動化することで、清掃スタッフの負担を大幅に軽減し、限られたリソースで貴院の衛生管理レベルを向上させることができます。

また、USEN-ALMEXが提供しているもう1機種の自走型清掃ロボット『Phantas』は、AIを搭載し、硬質床材から軟質床材まで幅広く対応する4つの清掃モード を備えたスマート清掃ソリューションです。複雑なレイアウトにも柔軟に対応し、より高精度な清掃を実現します。

業務用清掃ロボットの選定ポイントや活用例については、関連ブログ記事でもご紹介しています。
導入の参考に、ぜひあわせてご覧ください。

介護・福祉ロボット

介護・福祉ロボットは、ロボット技術を活用し、要介護者の自立支援とQOL(Quality of Life)向上、そして介護者の身体的・精神的負担軽減を目的としたロボットです。モーターで要介護者の移乗をサポートする「パワーアシストスーツ」や、入浴時の移動支援ロボットなど、多岐にわたる種類が存在します。

近年は国による開発支援も活発で、介護業界が抱える課題解決の切り札として期待されています。

教育・接遇支援ロボット

教育・接遇支援ロボットは、患者さまへの情報提供やコミュニケーション支援、さらにはスタッフの研修補助など、医療現場の多様な「教育」と「接遇」をサポートするロボットです。

例えば、長期入院中の小児患者さまに対して、学習や遊びを通じて精神的なケアを提供したり、認知症患者の方と会話を通じてリハビリや情緒的サポートを行ったりと、活用範囲は広がっています。

こうしたロボットの活用により、患者さまの不安を和らげ、満足度を高めるとともに、満足度を高めるとともに、スタッフが本来の専門業務やより高度なケアに集中できる環境づくりに貢献します。

サービスロボット導入のメリットと留意点

サービスロボットの導入は、人手不足の解消や業務効率の向上など多くのメリットがあります。一方で、現場環境や運用体制、セキュリティ面など、導入時に注意すべき点も存在します。ここでは、サービスロボットのメリットと導入時の留意点について詳しく解説します。

メリット①人手不足が解消できる

単純作業や反復作業といった専門的な知識を要しない業務をロボットが代替することで、人手不足の解消に貢献します。例えば、貴院の清掃業務、院内での荷物運搬などをロボットが担当できます。
これにより、従業員の作業負担を軽減し、貴院のスタッフが本来の専門業務や患者さまへのきめ細やかなケアに集中できる時間を創出します。結果として、全体的な作業効率の向上が期待できるだけでなく、スタッフの満足度向上にも繋がるでしょう。

メリット②業務効率がアップする

サービスロボットは作業の仕上がりにバラつきがなく、常に一定の品質を維持できる点が特徴です。医療現場において特に重要な、ヒューマンエラーのリスクを低減し、常に安定した品質で業務を遂行します。また、長時間連続稼働が可能であることも、業務効率向上に大きく寄与します。

さらに、ロボットの走行ルートや待機時間などのデータを分析することで、混雑しやすい場所や非効率な物品配置を特定し、院内のレイアウトや人員配置の最適化を支援します。これにより、より効率的に業務を進められる環境づくりが可能となります。

メリット③長期的なコスト削減につながる

サービスロボットは24時間365日の連続稼働が可能であり、作業品質にバラつきがないため、長期的な視点でのコスト削減に貢献します。人間が行う業務と比較して高いコストパフォーマンスを発揮し、時間外労働や休日出勤に伴うコストを削減します。

また、人為的なミスを減少させることで、不要なコストなども抑えられます。サービスロボットは研修コストも不要で、一度設定すれば安定した品質で作業を継続するため、長期的な視点で見れば、人件費の最適化や、時間外労働・休日出勤に伴うコスト削減に繋がり、貴院の経営安定化にも貢献いたします。

留意点①現場環境や運用体制がロボット運用に適さない場合がある

現場でサービスロボットに関する知識や運用ノウハウが十分に共有されていない場合、どれほど高性能なサービスロボットを導入しても、その性能を十分に引き出せない可能性があります。

また、知識面だけでなく、現場の業務フローや環境がロボットの動作に適していないことも課題の一つです。例えば、搬送ロボットが看護師の歩くスピードに追いつけず、実証実験止まりで採用に至らなかった例もあります。ロボットの導入には、既存の業務をどのように見直し、ロボットを業務の一部として組み込むかという視点が欠かせません。

USEN-ALMEXでは、導入後の運用サポートや研修プログラムも充実しており、安心してサービスロボットをご活用いただける体制を整えています。

留意点②ロボットだけでは対処できない問題がある

サービスロボットは定型業務の遂行に優れていますが、予期せぬトラブルや複雑な状況判断が必要な場面では、人間の介入が不可欠となります。例えば、病棟内でストレッチャーや車椅子が一時的に通路を塞いでいる場合、ロボットは自動で停止し、安全確保を優先します。
また、患者や来院者の動きが多い受付付近では、急な進路変更や声かけへの柔軟な対応が求められます。
こうしたシーンでは、ロボット単独での対応には限界があり、最終的な判断やサポートを行うスタッフの存在が不可欠です。

そのため、完全な無人運用は現実的ではありません。定型的な業務はロボットに任せつつ、人がイレギュラーな事態や高度な判断を要する業務を担う、効果的な協働体制の構築が求められます。

留意点③セキュリティ対策と安定したネットワーク環境の確保が重要

サービスロボットを導入する上で、セキュリティ対策と安定したネットワーク環境の確保は極めて重要です。近年、多くのロボットメーカーは通信の暗号化やセキュリティ強化を進めており、適切な設定と運用によってリスクを最小限に抑えることが可能です。

また、ネットワーク環境の品質は、ロボットの通信やシステム連携の安定性に影響を与える場合があります。導入前のネットワーク診断やセキュリティチェックを徹底することで、万全の体制でサービスロボットの活用をスタートできます。
USEN-ALMEXでは、導入前のネットワーク環境診断からセキュリティ対策のアドバイスまで、専門スタッフがサポートいたしますのでご安心ください。

まとめ

サービスロボットは、清掃、運搬、介護といったさまざまな分野で活躍が期待されており、これまで人間が行ってきた作業の強力なサポート役になりえます。カメラやAI、各種センサーを駆使した安全な自律運行ができるほか、24時間365日休まず稼働できる点が大きな特徴です。

少子高齢化による人手不足が深刻化する現代において、サービスロボットの導入は、人間の業務負担を軽減するだけでなく、業務効率の大幅な向上にも貢献します。導入を検討される際は、初期費用、運用・維持費、そして費用対効果などを総合的に考慮し、貴院に最適なサービスロボットを選定することが重要です。

USEN-ALMEXでは、清掃・配膳・搬送・受付といった分野に対応するサービスロボットを取り扱っております。国内外の信頼できるパートナーと連携することで、お客さまの多様なニーズに柔軟に対応できる体制を整えています。

万一のトラブルにも、24時間365日対応のコールセンターと、必要に応じた訪問サポートで迅速に対応いたします。
初めてサービスロボットを導入される方も、安心してお任せください。貴院の未来を拓く第一歩として、USEN-ALMEXのサービスロボット導入をご検討ください。


この記事を書いた人

この記事を書いた人


内田浩樹
会社名:株式会社USEN-ALMEX
部署名:人財&DX推進本部 組織開発部
執筆者の略歴:マーケティングビジネス実務検定B級、簿記2級、第2種電気工事士、普通自動車免許、防災士など

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