開業クリニックのDX導入ガイド|開業済のクリニックさまも必見!今すぐ始めるべき理由と手順を解説

開業クリニックのDX導入ガイド|開業済のクリニックさまも必見!今すぐ始めるべき理由と手順を解説

クリニックの開業を検討している人にとって、近年注目されている「医療DX」は避けて通れないテーマです。医療DXとは、デジタル技術を活用して医療の質や効率を高める取り組みであり、多くの業務効率化につながります。

この記事では、クリニック開業時に押さえておきたい医療DXの基本的な考えから、導入手順、失敗しないための注意点などを解説します。「今さら聞けない」と感じている方にも分かりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

医療DXとは

医療DXとは、医療の質や効率を高めるために、デジタル技術を活用する取り組みです。ICT(情報通信技術)を導入することで、診療の流れや業務の進め方を抜本的に見直し、よりスムーズで安全な医療体制の構築を目指します。たとえば、電子カルテ、予約システム、オンライン診療、AIによる診断支援などが挙げられます。これらにより、患者さまの利便性が向上し、医療従事者の負担も軽減されます。

特にクリニックのような少人数体制の医療現場では、医療DXがもたらす業務効率化や省力化の効果が大きく、開業準備の段階から検討しておきたい重要な要素です。また、少子高齢化や人手不足といった社会的課題への対応も求められており、医療業界全体では、働き方改革や慢性的な人手不足といった経営課題も山積しています。

こうした課題の解決手段として医療DXに取り組むことは、今後の事業継続を左右する重要な要素だといえるでしょう。

医療業界が抱える課題とは

医療業界では、少子高齢化や人材不足、地域間の医療格差など多くの課題が深刻化しています。おもな3つの課題を解説します。

クリニック人材の確保・育成が困難である

医療業界では、医師・看護師・事務スタッフなど、すべての職種で慢性的な人手不足が深刻化しています。特に開業クリニックのような小規模な医療機関では、限られた人員で診療から事務作業まで幅広く対応しなければならず、業務負担が大きくなりがちです。

さらに、少子高齢化や働き方改革の流れのなかで、医療従事者の労働環境にも見直しが求められています。2025年には、戦後のベビーブームに生まれた「団塊の世代」がすべて後期高齢者となり、医療ニーズのさらなる増加が予想されています。

こうした状況のなか、人手不足の解消と医療サービスの維持を両立する手段として、医療DXの活用が注目されています。業務の一部をデジタル化することで、限られた人材で効率的に診療体制を整えることが可能になります。

安心・快適でスムーズな医療サービスが求められている

医療の質だけでなく、患者さまにとって「安心できる」「快適でスムーズな」なサービスを提供できるかどうかが、クリニック選びの重要な基準になりつつあります。

長い待ち時間や煩雑な手続き、情報共有の遅れは、患者さまの不満や離脱につながります。今では、患者さま自身が医療機関を「選ぶ」時代。快適でスムーズな医療体験を提供は、患者さまの満足度向上と、継続的な受診(=リピーター獲得)に直結します。

そこで、電子カルテやネット予約、Web問診、オンライン診療などの医療DXツールの導入が有効です。これらを活用することで、院内滞在時間の短縮や業務効率の向上が図れ、患者満足度とクリニックの信頼性を高めることができます。

デジタル化が遅れている

医療業界では、他業界に比べてデジタル化の遅れが顕著です。現在も多くの医療機関では、カルテや処方箋、申請書類などを紙で扱っており、業務効率や情報連携に課題が残ります。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2023」でも、医療機関を含む一部の業界では、DXの取り組みが他業種に比べて進みにくい傾向があるとされています。

とくに小規模な医療機関では、電子カルテや予約システムなどの導入が徐々に進みつつあるものの、依然として未導入のケースも少なくありません。こうした状況を改善し、業務の効率化や患者サービスの向上を図るためにも、今後さらにデジタル化への取り組みを加速させることが求められます。

開業時にICT・ネットワーク環境を整えることの重要性

ICTやネットワーク環境の整備は、医療の質と業務効率を高めるうえで不可欠です。たとえば、電子カルテや遠隔診療の活用により、患者情報の共有や診療の効率化が可能になります。また、ネットワークの安定性やセキュリティ対策も重要であり、医療DXを推進するうえでの基盤となります。

クリニック開業時にICT・ネットワーク環境を整えておくことで、将来的なシステムの拡張や運用の柔軟性が確保でき、変化に強い体制を築くことができます。

後から導入する場合の課題

開業後にネットワークを導入する場合、配線と構築の業者が異なることで、トラブル発生時の対応が煩雑になるケースもあります。さらに、電子カルテの操作に慣れるまで時間がかかることや、停電時の備え、セキュリティ対策なども考慮しなければなりません。

こうした準備を開業後に行うのは、医療現場にとって大きな負担となるため、早期の導入が望まれます。開業準備の段階から専門家と連携し、自院に最適なICT・ネットワーク環境を整備しておくことが重要です。

クリニック経営・開業における医療DXの3つのメリット

医療DXは、クリニックの経営や開業において大きなメリットをもたらします。おもな3つのメリットを解説します。
これらのメリットは、クリニックの競争力を高め、持続的な成長を可能にします。

クリニック業務を効率化できる

電子カルテやネット予約システム、Web問診などの導入により、業務の効率化が実現します。その結果、紙での管理業務が減少し、医療従事者の負担が軽減されるだけでなく、診療に専念できる環境も整います。
また、業務の効率化は医療従事者のワークライフバランスの改善にもつながり、離職率を下げる効果も期待できます。

患者さま満足度が向上する

DX化により、診療内容を視覚的に伝えやすくなり、患者さまの理解度や満足度が向上します。さらに、受付や会計の待ち時間が短縮され、スムーズな診療体験により、患者さまの満足度はさらに高まるでしょう。これにより、再診率や信頼度の向上にもつながります。
患者さまの満足度は口コミや評判となって広がり、新規患者の獲得にも貢献します。

データ分析が可能になる

医療DXにより診療記録や処方情報などのデータを一元管理し、分析することが可能です。これにより、治療効果の検証や疾患の予測、新たなサービス開発が進み、医療の質と経営判断の精度向上に大きく貢献します。
また、データ分析はエビデンスに基づいた医療の提供し、患者さま一人ひとりに最適な治療を実現するための重要なツールとなります。

クリニック経営・開業における医療DXの注意点

医療DXは多くのメリットをもたらしますが、導入時にはいくつかの注意点があります。おもな2つの注意点を解説します。
これらの注意点を事前に理解し、適切な対策を講じることで、医療DXの導入を成功に導くことができます。

コストがかかる

医療DXの導入には、電子カルテや自動精算機などの初期費用に加え、保守や更新などランニングコストも発生します。そのため、開業初期の経済的負担は決して小さくありません。

ただし、業務効率化や人件費削減など長期的なコスト削減が期待できます。初期投資を抑えつつも、長期的な視点でコストメリットを検討することが重要です。

セキュリティリスクが増加する可能性がある

医療DXの進展により患者情報のデジタル化が進む一方で、サイバー攻撃による情報漏洩のリスクも高まっています。クリニックでは、高度なセキュリティ対策の導入に加え、スタッフへの情報リテラシー教育、定期的なシステム更新、アクセス制御の徹底など、多面的なセキュリティ管理が求められます。
こうした対策は、患者さまの信頼を守るうえで最重要の課題です。

既存機器との連携が可能か事前に確認する

クリニックの開業時には、新たに導入を検討している機器が既存の機器との連携ができるかどうかが重要です。たとえば、クリニックの場合は、新規機器の効果を最大化させるために、基幹システムである電子カルテとの連携が挙げられます。もし新規機器と電子カルテが連携できない場合、既存の電子カルテを変更が必要になることもあります。その場合は、入れ替えにかかるコストが無駄になるだけではなく、新たな機器選定の手間も増えてしまいます。
そのため、機器選定時には連携の可否だけでなく、連携の容易さや安定性も慎重に確認することが重要です。

クリニックにおける医療DX導入方法の例

クリニックで医療DXを導入する具体的な方法やステップについて解説します。
これらを参考に、自院の状況に応じた最適なDX戦略を策定してください。

ICT構築

クリニックのICT構築は業務効率化と患者サービス向上に欠かせません。自動会計やWeb予約、電子カルテ、オンライン診療など、さまざまなシステムの導入が求められます。ICT構築は、医療DXの基盤となる重要な要素です。

―自動会計システム

自動会計システムの導入により、会計業務の効率化が期待できます。現金のやり取りやおつりの渡しミスが減り、スタッフの負担が軽減します。さらに、患者さまの待ち時間短縮につながり、満足度向上も見込まれます。また、キャッシュレス決済対応や電子処方箋の活用も進み、会計から処方までスムーズな医療サービスの提供が可能です。

自動会計システムは、患者さまにとってもスタッフにとってもメリットの大きいシステムです。

―Web予約

Web予約を導入することで、患者さまは24時間いつでも診療予約ができ、利便性が大幅に向上します。電話対応の削減により、スタッフの業務負担も軽減され、業務効率化に貢献します。

さらに、Web問診機能を併用すると、事前に患者さまの症状を把握でき、診療もスムーズに進みます。チャットボットやLINE配信機能と連携することで、診療時間外の対応や情報発信も可能です。
Web予約は、患者さまの利便性向上とスタッフの業務効率化を両立できる優れたシステムです。

―電子カルテ

電子カルテは、患者情報の一元管理や診療データの即時共有を可能にします。近年はクラウド型が主流で、予約や会計システムとの連携によって診療フロー全体の最適化が図れます。紙のカルテに比べて保管スペースが不要で、過去の記録検索も容易です。
導入の際には、診療内容や運用体制に適したシステムを選び、サポート体制や操作性も重視しましょう。電子カルテは、医療DXの中核となるシステムであり、その導入効果は非常に大きいといえます。

―電子処方箋療

2023年に導入された電子処方箋は、紙の処方箋を電子化し、医療機関と薬局間で薬剤情報をリアルタイムに共有できる仕組みです。重複投与や禁忌薬の防止により患者さまの安全性が向上し、特に複数の医療機関を受診する高齢者に効果的です。

また、オンライン診療や在宅医療とも親和性が高く、医療の質や業務効率の向上につながります。電子処方箋は、医療の安全性と効率性を高める重要なシステムであり、医療費の適正化や削減にも寄与します。医療DXの中核を担う、社会的にも意義深いシステムです。

医療DX導入の手順

医療DX導入には、段階的な手順が必要です。まず、現状の業務や課題を可視化し、解決すべき優先順位を明確に設定しましょう。
次に、最適なICTツールやシステムを選定し、導入の目的や効果をスタッフに丁寧に説明します。初期導入はスモールスタートとし、特定部門から試験運用を行うことで混乱を避けることが可能です。

導入後は、効果判定や現場の声をもとに改善を続けることが、持続可能なDX化へのポイントとなります。医療DXは一度導入して終わりではなく、継続的な改善とアップデートが欠かせません。

医療DXの導入事例

医療DXに成功した導入事例を紹介します。

スマイルデンタルクリニック世田谷さまの事例

スマイルデンタルクリニック世田谷さまでは、患者さまの不安軽減とスタッフの業務効率向上を目的に、アルメックスの卓上型自動精算機「FIT-B for Clinic」を導入しました。省スペースながら操作性に優れ、レセコン連携やキャッシュレス対応も可能です。
自動精算機の導入により、患者さまの満足度向上とスタッフの負担軽減を両立しました。

導入後は会計時間の短縮や締め作業の効率化など多くの効果が生まれ、院内全体の働き方改革と患者さまの満足度向上に貢献しています。



患者さまだけでなく、スタッフの不安にも寄り添えるように。スムーズ&正確な精算機で業務をバックアップ | 株式会社USEN-ALMEX
“歯を抜かない・削らない・痛くならない治療”をモットーに掲げる、スマイルデンタルクリニック世田谷様。より高い精密性なインプラント治療を実現する歯科用CT・ガイドの導入、高精度ダイアグノカムによるX線フリーの虫歯診断、通院時間が限られる方に向けた1DAY医療など、最新の技術を取り入れることで、患者さまの不安や時間的な負担に寄り添う医療を実現。診療機器だけでなく、患者さまがより通院しやすい環境づくりにも取り組んでいます。常に技術と向き合うクリニックの次のステップとして、今回自動精算機を導入されました。
 www.usen-almex.jp

ミューザ川崎こどもクリニックさまの事例

ミューザ川崎こどもクリニックさまでは、患者サービスの一環として自動精算機「FIT-A」を導入しました。会計時間の短縮やキャッシュレス決済対応により、利便性と業務効率両立の実現に成功しています。専門性の高い医療と快適な環境を提供するなかで、受付DXが医療と社会への新たな価値創出につながっています。自動精算機の導入は、単なる効率化だけでなく、患者さまへのホスピタリティ向上にも繋がります。



自動精算機導入で新たな付加価値を。診療終了後の会計時間もクリニックのサービス | 株式会社USEN-ALMEX
小児科の枠を越えた医療サービスの提供を目指す医療法人社団 育心会は、神奈川・東京エリアで専門性の高い小児科+αの医療を展開しています。川崎駅直結のミューザ川崎こどもクリニックでは、小児科学会認定の専門医による診療に加え、予防接種・健診・専門外来のためのクリーンエリアを設置するなど、患者満足度向上と感染対策を重視した環境づくりを実現。医療の質と利便性を両立させるDXの一環として、よりスムーズな会計対応を可能にする自動精算機の導入を検討しています。
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宝塚こども歯科さまの事例

宝塚こども歯科さまでは、院内の衛生環境を保ちながら業務効率を高めるため、自動精算機を導入しました。現金の取り扱いを最小限に抑えることで清潔な環境を維持し、スタッフが手洗いに費やす時間を削減できました。
自動精算機の導入は、院内の衛生環境改善にも貢献します。

また、人員配置に余裕が生まれ、よりていねいな対応につながっています。お子さまや高齢者もスムーズに操作でき、利便性の高さも大きな成果となっています。



患者さまに安心をお届けしたい。そんな想いで、自動精算機の導入へ。 | 株式会社USEN-ALMEX
宝塚市にある神田歯科医院の小児歯科専門の分院として2016年11月に開院した宝塚こども歯科様は、その名の通りお子さんを中心に大人気の歯科医院です。自動精算機の導入をはじめとした院内のシステム化に力を入れている宝塚こども歯科様ですが、自動精算機導入には意外な理由がありました。今回はその意外な経緯と導入効果、独自の取り組みなどについて伺いました。
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まとめ

医療DXは、クリニックの未来を大きく変える可能性を秘めています。積極的に導入・活用することで、クリニックは持続的な成長や、地域医療にへのさらなる貢献が期待できます。記事が、先生方のクリニックのDX推進の一助となれば幸いです。医療DXは、一過性の流行ではなく、これからの医療を支えるために欠かせない取り組みです。

USEN-ALMEXは、このたび、業界初※1となるクリニック向け受付ロボット「ATOI」の取り扱いを開始いたしました。そのほかにも、清掃ロボット・配送ロボット・予約システム、自動精算機など、DXを支える多様なソリューションを展開し、クリニックの開業・運営を多角的にサポートしています。

※1:当社調べ


この記事を書いた人

この記事を書いた人


内田浩樹
会社名:株式会社USEN-ALMEX
部署名:事業企画本部 ビジネスクリエーション部
執筆者の略歴:マーケティングビジネス実務検定B級、簿記2級、第2種電気工事士、普通自動車免許、防災士など

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