自動精算機でトラブルを防ぐには?よくある事例とその対処法を解説

自動精算機でトラブルを防ぐには?よくある事例とその対処法を解説

自動精算機とは、施設や店舗でスタッフを介さずに料金を支払えるシステムです。レジ業務の効率化や人手不足の対策として、医療機関、ホテル・宿泊施設、ゴルフ場など幅広い業種で導入が進んでおり、便利でスムーズな会計が実現しています。

一方で、実際の運用現場では、ちょっとしたつまずきが発生することもあります。こうした場面にどう備えるかが、安心・安全な運用のカギとなります。

この記事では、自動精算機の導入を検討している方に向けて、よくあるトラブルの事例とその解決策、導入時に押さえておきたいポイントをご紹介します。ぜひ参考にして、トラブルを未然に防ぐための対策を講じてください。

自動精算機のよくあるトラブル事例と対処法

自動精算機は便利で効率的な会計ツールですが、実際の運用現場では、思わぬトラブルが発生することもあります。
この章では、現場で見られる代表的なトラブル事例とその対処法についてご紹介します。

1.現金詰まりなどの紙幣トラブル

現金対応の自動精算機では、折れや汚れのある紙幣を投入した際に、内部で紙幣が詰まってしまうトラブルが発生することがあります。とくに複数枚の紙幣を一度に投入すると、搬送がスムーズに行われず、読み取りエラーや停止の原因となります。

こうしたトラブルを未然に防ぐには、まず紙幣搬送ユニットの定期的な清掃や点検が重要です。さらに、利用者に向けて「紙幣は1枚ずつ投入してください」「折れた紙幣は使用を避けてください」といった案内を掲示することで、機器の誤動作を抑える効果が期待できます。

2. 操作に戸惑う利用者への対応

自動精算機は、直感的に操作できるよう設計されていますが、すべての利用者がスムーズに使いこなせるとは限りません。とくに高齢者や外国人観光客など、機器の操作に不慣れな方にとっては、画面の表示内容やボタン配置、決済手順に戸惑う場面も見られます。こうした状況では、操作ミスや会計の遅れといったトラブルが発生することもあります。

このような事態を防ぐためには、現場スタッフが自動精算機の基本操作を理解し、利用者に対して丁寧にサポートできる体制を整えておくことが重要です。定期的なスタッフ研修を実施し、機器の使い方やよくある質問への対応方法をあらかじめ共有しておくと、トラブルの抑止につながります。

また、利用者の負担を軽減するための工夫として、画面表示に操作手順を加えたり、視認性に配慮した案内パネルを設置したりするのも効果的です。近年では、多言語表示に対応した自動精算機も増えており、英語や中国語、韓国語など、外国語での案内が可能な製品を選ぶことで、インバウンド対応力も高めることができます。

3. 釣銭の取り忘れがある

自動精算機の会計後、現金で支払ったお客さまが釣銭の受け取りを忘れてしまうケースがあります。
とくに急いでいる場面や、他の利用者が後ろに並んでいることで焦り、釣銭を取り忘れてしまう可能性が高まります。釣銭が残ったまま放置されると、ほかの利用者が誤って持ち去ってしまうなど、さらなるトラブルに発展する恐れもあります。

対策としては、釣銭の取り忘れをアラートで知らせる機能が搭載された機種を導入するのが効果的です。また、「釣銭をお取りください」といった音声ガイダンスや、視覚的に目立つ貼り紙を設置することで、利用者自身が注意を払えるようになります。あわせて、定期的に釣銭トレーをチェックするなどの運用体制も整えておくと安心です。

4. 混雑時の導線設計による混乱

混雑する時間帯には、精算待ちの列ができ、操作に不慣れな利用者と後続の利用者との間でトラブルが発生することがあります。列の並び方が不明瞭な場合、順番をめぐるクレームや、無理な割り込みなども起こりかねません。

このような事態を避けるためには、スムーズに精算を行えるような導線設計が不可欠です。床面表示や案内サインを活用し、待機列の位置や進み方をわかりやすく示すことで、利用者のストレスを軽減できます。また、精算スペースと待機スペースをしっかり分けることで、操作に集中できる環境づくりにもつながります。必要に応じて自動精算機を増設することも検討しましょう。

自動精算機を導入するメリット

ここまで、自動精算機を運用するうえでのよくあるトラブル事例とその対処法を紹介してきました。
一方で、こうした課題に対策を講じることで得られるメリットも多く、導入を検討する価値は十分にあります。
この章では、自動精算機を導入することで得られる主なメリットをご紹介します。

現金管理の効率化ができる

自動精算機の導入によって、現金管理の効率が大幅に向上します。クレジットカードやQRコード決済など多様な支払い方法が普及していますが、多くの施設では依然として現金決済が主流です。

現金のやり取りには、計算ミスや釣銭の渡し間違いといったヒューマンエラーのリスクがつきものですが、自動精算機を活用することでそれらを大きく軽減できます。


また、レジ締めや売上金の集計といった業務もスムーズになり、スタッフの負担軽減やサービス向上に注力できるようになります。

業務効率化と人員配置の最適化が図れる

自動精算機の導入は、会計業務にかかるスタッフの負担を大幅に軽減し、現場の業務効率化につながります。とくに混雑時の会計対応はスタッフにとって大きな負担となりますが、精算業務を機械に任せることで、窓口対応の分散が可能になります。

その結果、スタッフは接客や案内といった、より付加価値の高い業務に集中できるようになり、サービス品質の向上にも寄与します。

また、会計業務に必要な人員を最適化できるため、人件費の削減や、新たな人材採用・育成コストの軽減といった経営的なメリットも見込めます。業務の質とコストの両面で改善が期待できる点は、導入における大きな利点です。

感染症対策になる

非接触・非対面の会計を実現できる自動精算機は、感染症対策としても有効です。従来の現金の受け渡しは、紙幣や硬貨を介してウイルスや細菌が移るリスクを含んでおり、接触回避が求められるシーンでは大きな課題となっていました。

自動精算機を導入すれば、現金の受け渡しを最小限に抑えられ、会計時の混雑緩和にもつながります。これにより、密の回避や衛生面の向上といった効果も期待できます。

釣銭の渡しミスや不正の防止につながる

自動精算機の導入は、釣銭の受け渡しミスや金銭の不正行為を防ぐうえでも効果的です。会計時に起こりがちな釣銭の受け渡しミスや、お金に関する不正行為は、信用を損なう原因となります。

自動精算機であれば、釣銭の計算と支払いを正確に行い、受け渡しミスを大幅に減らすことができます。また、現金に直接触れる機会が少なくなることで、スタッフによる不正行為の抑止にもつながります。

万が一のトラブル発生時にも、履歴データを確認することで迅速な対応が可能です。こうした仕組みにより、金銭管理の安全性が高まり、店舗運営の信頼性向上にも貢献します。

多様な決済方法への対応ができる

自動精算機は、現金に限らず、クレジットカード、交通系ICカード、電子マネー、QRコード決済など、幅広い支払い方法に対応できます。これにより、利用者のニーズや支払いスタイルに合わせた柔軟な会計対応が可能になります。

とくに、キャッシュレス決済を好む若年層や、外国人観光客への対応力は、顧客満足度の向上に直結します。利便性の高い会計環境は、施設全体の印象にも好影響を与えるでしょう。

自動精算機を導入する際の注意点

自動精算機には、業務効率化や人手不足対策、感染症対策など多くのメリットがありますが、導入にあたっては確認しておくべき注意点も存在します。

この章では、導入を検討する際に事前に把握しておくべき代表的なポイントをご紹介します。

初期費用とランニングコストが発生する

最も重要な注意点として、初期費用をはじめとするコスト面が挙げられます。機種や設置台数によって金額は異なりますが、安価な機種でも一定の導入費用が必要です。また、導入後も定期的なメンテナンスや故障時の対応コストなど、ランニングコストが発生します。導入前には、初期費用と運用コストを含めた「トータルコスト」を試算し、予算とのバランスが大切です。

操作に慣れるまで時間がかかることもある

自動精算機を導入した直後は、操作や運用フローに慣れるまで一定の時間を要します。特にスタッフは、現場での運用手順を習得するまでにおおむね1か月程度の研修・慣熟期間が必要です。

また、現場全体で安定した運用ができるようになるまでにはおおよそ3か月程度を要します。
その間は、トラブル発生時の対応体制を整え、スタッフ間の情報共有を徹底しながら、段階的に運用を安定させていくことが求められます。

設置スペースやネットワーク環境の確認が必要

自動精算機は、設置場所の広さや周辺の環境に応じて適切な機器を選定する必要があります。サイズによってはレイアウト変更が必要となり、想定外の工事費用が発生する場合もあります。

また、ネットワーク環境が不十分な場合は、通信設備の整備や増設が必要です。設置予定の寸法や既存設備との互換性を事前に十分な確認を行いましょう。

釣銭の準備に手間がかかる

現金対応の自動精算機を導入する場合、事前に釣銭(紙幣・硬貨)を準備し、定期的に補充・確認を行う必要があります。釣銭が不足すると会計が完了せず、利用者に迷惑をかける恐れもあります。

そのため、運用体制として「釣銭残量の定期確認」や「補充タイミングの管理」を仕組み化しておくことが重要です。また、キャッシュレス決済の利用を促進することも、運用負担を軽減するための有効な対策のひとつです。

自動精算機を導入する流れ

「自動精算機の導入を検討しているが、具体的にどう進めればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。この章では、導入をスムーズに進めるための基本的な流れをご紹介します。

1.導入目的や予算を明確にする

最初のステップは、導入の目的を整理することです。
業務効率の向上、人件費削減、顧客満足度の向上など、達成したい課題や目的を明確にすることで、必要な機能や仕様が自然と見えてきます。

同時に、初期費用だけでなく、保守やメンテナンスといったランニングコストを含めたトータルコストも想定し、無理のない予算を設定しましょう。

2.自動精算機のタイプや特徴を比較する

導入の目的と予算が決まったら、次に各メーカーが提供する機種の比較検討に移ります。
近年はさまざまなタイプの自動精算機が登場しており、対応する決済方法や処理スピード、サイズ、操作性、サポート体制などが異なります。

比較検討の際は、以下のポイントを基準にするとよいでしょう。

・対応する決済手段(現金・クレジット・QRコードなど)
・初期費用とランニングコスト
・メンテナンスやトラブル対応などのサポート体制
・設置スペースに合ったサイズやデザイン

3.実際の運用に支障がないかを確認する

候補となる機種が決まったら、導入後の運用に無理がないかを事前にチェックしましょう。
たとえば、ネットワーク環境の有無、設置スペースの広さ、既存システムとの連携可否などがポイントになります。

必要に応じてレイアウトの変更や設備の見直しが必要になることもあるため、運用後を見据えた準備をしておくことが重要です。

4.機器の設定や操作確認を行う

機器が納品されたら、まずは初期設定と動作確認を行います。メーカーによっては、設定サポートや設置サービスを提供していることもありますが、サポートがない場合は自社で設定を進める必要があります。

操作方法や各種設定項目を正確に把握し、マニュアルを整備することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

5.スタッフ向けに研修を行う

スムーズな運用には、現場スタッフへの研修が欠かせません。とくに導入初期は、基本操作に加えて、よくあるトラブルとその対処法、日常的な点検・補充作業などについて共有しておくことが大切です。

実機を使った実践形式で研修を行うことで、より安心して運用開始日を迎えることができます。

6.利用者向けに操作案内を掲示する

導入後は、実際に使用するお客さまに向けて、操作方法や注意点を分かりやすく伝える掲示物を設置しましょう。
とくに高齢の方や、初めて使う方にとっては、わかりやすい案内があるだけで安心感が大きく変わります。

掲示物を作成する際は、以下のような工夫を加えると効果的です。

・実際の画面や操作手順を写真で見せる
・大きく見やすい文字とレイアウト
・番号や図解で順序立てて説明する

こうした工夫が、スムーズな精算と顧客満足度の向上に繋がります。

自動精算機を選ぶポイント

一口に自動精算機といっても、搭載されている機能や性能は機種によって大きく異なります。「どれを選べばよいか分からない」「選定に時間がかかってしまう」といった悩みも多いでしょう。

この章では、自社に最適な機種を選定するために押さえておきたいポイントをご紹介いたします。

設置する施設やお客さまに合った機器を選ぶ

まず最初に検討すべきは、設置予定の施設と、実際に使用するお客さまの特性に合っているかどうかです。
機器の仕様が施設の利用者層にマッチしていないと、業務効率の向上どころか、かえって運用トラブルや顧客満足度の低下を招いてしまう可能性があります。

たとえば、高齢者の多い施設に現金非対応の精算機を導入した場合、利用方法に戸惑いが生じ、スタッフのサポート負担が増えることも考えられます。

そのため、お客さまがストレスなく操作できる設計かどうか、導入目的に見合った機能が備わっているかを確認しましょう。

設置スペースやデザインとの相性を確認する

自動精算機は機種によってサイズや形状、デザインが異なるため、設置予定のスペースににマッチしているかどうかも重要な判断基準です。

スペースに対して機器が大きすぎる場合、動線の妨げになったり、備品の再配置が必要になったりすることもあります。さらに、施設の雰囲気と合わない外観の機器を設置すると、空間全体の印象を損なうおそれがあります。

導入前にはレイアウト図や設置イメージを用いて、サイズ・デザインの相性を十分に確認しておくことが大切です。

投資対効果を考える

機種選びをする際は、導入費用に対して得られる効果が見合うかどうか、いわゆる「投資対効果」の視点が欠かせません。

たとえば「最先端機能が搭載されているから」という理由で最新機種を導入しても、もともとの客数が少ない場合、コスト回収が難しくなることがあります。特に、売上向上への直接的な効果は限定的なケースもあるため、業務効率化による人件費削減やミスの低減など、間接的なメリットも含めて評価することが重要です。

そのため、導入コスト(初期費用+ランニングコスト)に対し、どれだけの業務効率化や売上向上が見込めるかをシミュレーションし、無理のない投資計画を立てましょう。また、導入にあたっては補助金制度を活用することで初期費用を抑えることも可能です。

複数メーカーから見積もりを取る

最適な機種・価格を見極めるためには、複数のメーカーから相見積もりを取ることが効果的です。
各社の機能・価格・サポート体制を比較することで、条件に合った最適な選択がしやすくなります。

また、見積もり対応時の担当者の対応や説明の丁寧さも、導入後のサポート体制を見極めるうえでの判断材料となります。

ただし、相見積もりはすべての業者からの返答を待つ必要があるため、一定の時間と労力がかかります。条件の共有ややり取りは記録を残しながら丁寧に進めることが、後々のトラブル防止につながります。

まとめ

自動精算機の導入には、業務の効率化や人手不足の解消、さらには顧客満足度の向上など、多くのメリットがあります。ただし、導入時には初期費用や設置スペースの確保といった課題も存在します。そのため、トラブルを事前に想定し、自社の運用に合った機種をしっかりと見極めることが大切です。

また、新紙幣対応など時代に即したアップデートも必要となるため、導入後も継続的な運用管理が求められます。導入後の運用をスムーズにするためにも、サポート体制が整った企業を選ぶことが、トラブルを最小限に抑えるポイントとなります。

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※1:2023年1月末時点


この記事を書いた人

この記事を書いた人


内田浩樹
会社名:株式会社USEN-ALMEX
部署名:事業企画本部 ビジネスクリエーション部
執筆者の略歴:マーケティングビジネス実務検定B級、簿記2級、第2種電気工事士、普通自動車免許、防災士など

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