デジタル診察券とは
デジタル診察券とは、紙やプラスチックの診察券をスマートフォンやタブレットで使えるようにしたものです。QRコードなどを利用して患者情報を管理できるため、受付や診療の流れがスムーズになります。
予約や受付機能と連携することで、待ち時間の短縮や業務負担の軽減にもつながります。診療履歴の閲覧や通知機能などが備わったサービスもあり、患者さまとのコミュニケーションの質も向上します。
デジタル診察券を利用するには、専用のアプリまたはWebサイトで会員登録と予約が必要です。登録した情報は診察時に活用され、スムーズな受付・対応が可能になります。
今どきの診察券事情
近年では、デジタル化が進んでいる影響で、診察券を廃止する医療施設も増えつつあります。その背景には、業務効率化に加え、紙資源やプラスチック削減といったSDGsの観点からの配慮もあります。
しかし、スマートフォンやWebの操作に不慣れな高齢の患者さまも多いため、紙の診察券とデジタルの診察券を併用している施設も少なくありません。二重運用はスタッフの負担になる面もありますが、高齢の方やスマートフォンに不慣れな患者さまにも対応するため、多くの医療施設では柔軟な運用が行われています。
デジタル診察券が注目されている理由
デジタル診察券は、患者側・医療施設側ともにメリットがあることから、注目が集まっています。たとえば、アプリで受付や会計といった手続きが完結すれば、院内での待ち時間が少なくなり、紙の診察券と比べて利便性が高くなります。
また、診療前の問診入力やリマインド通知など、患者さまとのコミュニケーションをサポートする機能を備えたサービスもあり、事前準備や不安解消に役立つと期待されています。
デジタル診察券の種類
デジタル診察券は、LINEやWeb、専用アプリなどを通じて利用でき、医療施設によって導入形態はさまざまです。ここでは、デジタル診察券の代表的な3つのタイプについて紹介します。
LINE
LINE公式アカウントを活用したデジタル診察券では、患者さまがLINE上で予約・キャンセル・日時の確認などを行うことが可能です。デジタル診察券の発行には、医療施設側が提供する公式アカウントへの登録と、必要事項の入力が必要です。
LINEは日本国内での利用者が非常に多く、日常的に利用しているユーザーが多いアプリです。新たなアプリのインストールが不要で、手軽に始めやすいというメリットがあります。また、医療施設によってはLINE上で事前問診やメッセージ送信なども行えます。
Web
医療施設のホームページやWeb予約システムを通じて、デジタル診察券を利用するタイプです。専用のマイページから予約、キャンセル、情報確認ができる仕組みが一般的です。アプリをインストールすることなく、PCやスマートフォンのブラウザから手軽に利用できる点が特徴です。
医療施設の公式ホームページで会員登録を行い、予約や情報の管理などが行えます。診察券情報は予約ごとにマイページ上で表示され、受付時に確認画面として活用されます。
アプリ
医療施設が提供する専用アプリをインストールして、診察券を発行する方法です。スマートフォンやタブレット端末にアプリをダウンロードすることで、予約、診察券の表示、問診、通知などの機能が利用できます。
アプリによっては、複数の医療施設を登録できたり、診療科ごとの履歴を確認できるなど、より多機能なものもあります。
なかには、患者さまとのメッセージ機能や服薬リマインドを搭載したサービスもあり、診療前後のサポートに活用されています。
デジタル診察券のおもな機能
デジタル診察券のおもな機能は、以下のとおりです。
・予約:アプリやWeb上で24時間予約を受け付けします。
・受付:来院時にQRコードをかざすだけで受付が完了します。
・問診:事前に問診票を入力し、待ち時間を短縮できます。
・メッセージ:診療案内やお知らせを一斉または個別に配信できます(対応アプリによる)。
・会計:クレジットカードやQRコードによるキャッシュレス決済が可能です。
・診療情報の閲覧:診療履歴や検査結果を確認できる機能を備えたアプリもあります(医療施設による)。
・処方箋のデータ送信:一部のオンライン診療対応アプリでは、薬局への処方箋送信に対応しています。
・診察券の一括管理:複数の医療施設や家族分の診察券を一括管理できます。
デジタル診察券のメリット
デジタル診察券は、患者さまの利便性を高めるだけでなく、医療施設の業務効率化にもつながる点で注目を集めています。ここでは、それぞれの立場から見たメリットについて紹介します。
患者さま側のメリット
デジタル診察券は、予約や受付がアプリやWeb上で完結できるため、自宅から簡単に手続きができる点が大きなメリットです。紙の診察券を持ち歩く必要がなく、紛失や忘れによるトラブルも減少します。
また、来院前にリマインド通知が届くことで、受診忘れを防ぎやすくなります。受付や次回予約までの流れがスムーズになることで、待ち時間の短縮にもつながり、通院時のストレス軽減や満足度向上が期待されます。
情報はクラウド上で管理されるため、セキュリティ対策が施されたシステムであれば、個人情報も適切に管理されます。
クリニックなど医療施設側のメリット
医療施設側のメリットは、受付・予約・会計などの一連の業務がデジタル化されることで、事務作業の工数削減と人件費の抑制につながります。 また、紙の診察券や問診票を削減できるため、印刷物や保管スペースにかかるコストの軽減も期待できます。
患者情報はシステム上で一元管理され、受付、診療、精算の各工程でスムーズに活用できます。結果として、業務の効率化と患者満足度の向上により、再来院率の改善にも寄与する可能性があります。
デジタル診察券のデメリットと注意点
デジタル診察券は多くの利便性を提供する一方で、導入時にはいくつかの課題もあります。たとえば、従来の紙やプラスチック診察券からデータ化する作業には時間やコストもかかるだけではなく、一斉に移行することも困難です。そのため、紙やプラスチックの診察券の利用を併用しながら、段階的に移行を進めるのが一般的です。
また、デジタル化に伴い、データ漏洩やサーバートラブルといったセキュリティリスクへの備えも重要となります。信頼性の高いサービスを選定し、バックアップ体制や障害時の対応策を確認しておく必要があります。
さらに、地域によってはデジタル診察券に対応していない医療施設もあるため、患者さまの通院先や利用環境に応じて柔軟な運用を検討することが求められます。
デジタル診察券の導入手順
デジタル診察券の導入は、以下のようなステップで進めるのが一般的です。
1.導入目的の明確化:受付業務の効率化、患者サービスの向上など、何のために導入するのかを明確にします。
2.システム要件の決定:自院の規模や運用スタイルに合ったシステムを選定します。必要な機能(予約、受付、決済など)を洗い出し、要件を整理しましょう。
3.費用を検討:複数のベンダーに問い合わせ、提供内容・サポート体制・導入費用などを比較・検討します。
4.導入の準備:操作性やシステム仕様、院内ネットワーク環境などを確認し、導入後に必要なスタッフ教育や業務フローの見直しもあわせて検討します。
5.テスト:実際の運用環境でテストを行い、患者対応や受付処理がスムーズに行えるかを確認します。
6.運用:本格的に運用を開始し、現場での課題やスタッフの習熟度を踏まえて必要な改善を行います。
なお、導入の進め方や検討事項は、医療施設の規模や地域性、既存の業務フローによって異なります。無理のない範囲で段階的に進めることがポイントです。
デジタル診察券の導入・運用にかかる費用
デジタル診察券の導入費用は、提供サービスによって大きく異なります。なかには初期費用が無料で、月額費用のみ請求するといった形式のサービスがありますが、医療施設の規模や導入目的、求める機能によって、費用感は変わってきます。
たとえば、既存の電子カルテや予約システムとの連携が必要な場合や、カスタマイズが発生するケースでは、初期設定費用や追加開発費用がかかることもあります。また、紙の診察券からの切り替えに際して、患者情報のデータ移行に伴う作業コストや人的工数が発生する場合もあります。
安価なサービスは、予約・受付機能など基本機能に絞られていることが多く、診療履歴管理や決済連携などの高度な機能が必要な場合は、上位プランや別サービスとの組み合わせが必要になることもあります。
そのため、導入前には複数のベンダーを比較し、費用と機能のバランスが自院に合っているかを検討することが重要です。
デジタル診察券サービスを選ぶポイント
デジタル診察券サービスを選ぶ際は、課題の解決につなげることを重視しましょう。多くのサービスでは、「予約機能」や「受付機能」は標準で搭載されていますが、問診入力・キャッシュレス決済・リマインド通知などの機能はオプションとなっている場合もあります。必要な機能が標準装備か別料金かをあらかじめ確認し、費用対効果を見極めることが重要です。
また、提携医療施設が多く、患者さまの情報を複数の医療施設で共有できるアプリであれば、転院や通院先の変更時にもスムーズに対応できます。
さらに、既存の電子カルテやレセプトコンピュータ(レセコン)との連携が可能かどうかも大切な判断材料です。システム連携が可能であれば、情報入力の手間が減り、受付から診療、会計までの業務効率化に大きく貢献します。
サービスを選ぶ際は、「どの機能が自院の課題解決に必要か」「現在のシステムと無理なく連携できるか」を軸に比較検討しましょう。
おすすめのデジタル診察券サービス3選
デジタル診察券は、利便性の高いものを選びましょう。ここでは、おすすめのサービスを3つ紹介します。
デジスマ診療
デジスマ診療は、快適な診療体験を提供するサービスです。予約・受付・診察・会計機能を集約・ワンストップ化して、医療施設全体の業務効率を高めます。事前オンライン問診にも対応し、診察内容の自由なカスタマイズも可能です。また、キャッシュレス決済や領収書添付など、便利な機能も使用できます。
medicalforce
medicalforceは、LINE連携機能が豊富なサービスです。たとえば、CRM(顧客関係管理)に活用できる配信機能は、患者さまの属性に応じた配信をする際に活用できます。院内リソースをすべて連携するため、データを可視化して、効率的な経営ができます。医療施設の要望に対応できる、万全なサポート体制も利用できます。
Sma-pa(スマパ)
Sma-pa(スマパ)は、USEN-ALMEXが提供するデジタル診察券サービスです。スマートフォンを使って、提示や待合番号の確認ができるほか、受付機・精算機とシステムが連携しており、受付から会計までを一体化して運用できます。
医療施設側の業務効率化だけでなく、患者さまの「待ち時間」や「受付の混雑」などの不満解消にも寄与します。今後はさらなる機能拡張も予定されており、拡張性と実用性を兼ね備えたサービスです。
まとめ
デジタル診察券は、紙やプラスチックの診察券をデジタル化したもので、受付から診療までの流れをスムーズにし、医療現場の業務効率化に貢献します。患者さまにとっても利便性が高く、待ち時間の短縮や受診忘れの防止など、診療体験の向上が期待できます。
一方で、提供される機能や導入形態はサービスごとに異なるため、自院の課題や目的を明確にしたうえで最適なサービスを選定することが重要です。
株式会社USEN-ALMEXでは、医療施設向けにデジタル診察券と連携可能な自動精算機や受付支援機器を提供しています。医療施設にとどまらず、宿泊施設やレジャー施設など幅広い現場で導入されており、受付から会計までをトータルで効率化したい施設に最適なソリューションです。デジタル診察券の導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。現場の課題に合わせた最適なご提案をさせていただきます。
この記事を書いた人
USEN-ALMEX公式SNS




